で、どうするの?もう帰る?」
僕達の家はここから電車で15分くらい。
都市の喧騒から少し離れた、それでも何件かアスランの家のような豪邸が建つ静かな住宅密集地。
僕は当たり前に電車で帰るけど、アスランのようなお金持ちの人は大概、運転手つきの自家用車で送り迎えしてもらっている。でもアスランは、わざわざ電車で登下校している。
最初は僕に気を使っているのかと思ったけど、後から聞けば中学の頃からそうしていたらしいし、よくよく考えたらアスランは昔から誰かに…とりわけ家族に手間を掛けさせるのが嫌いな人間だった。
そんなわけで、再び邂逅してからというもの、僕達は昔のようにこうして一緒に帰っている。
「ああ、そのことなんだが」
「あ、もしかして委員会?」
「……、よく分かったな」
「だって、アスランが断るなら、そうかなぁって」
アスランは学級委員だから、放課後に委員会があるのはしょっちゅうで。
今までも何度かそういうことがあった。
「悪いけど、先に帰っててくれ」
「うん、わかった」
待つのもかえって気を使うから(さっきも言ったけどアスランは手間をかけてもらうのを気にするので)そういう時には一人で帰る。
じゃあな、うん、バイバイと軽い挨拶を交わして、アスランが踵を返そうとした、その時。
「!」
わっ、と。
一瞬にして、廊下のほうでざわめきが起きた。
「………?」
アスランと二人して廊下に視線を向けて、教室と廊下の間の中窓をみやる。その向こうで、男女含めた幾人かの取り巻きが色めきたっているのが見えた。
何事かとそちらを覗き込むと、中窓の端からピンク色の髪がふわっと現れる。
ああ、と僕は頷いた。アスランも納得したようにこう呟く。
ピンクの髪のお姫様か。
ピンクの姫君―――――――――、ラクス・クライン。
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