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趣味:
カキモノ
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初音ミクとガンダムをこよなく愛すモノカキ。
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種 キララク ノマカプ(公式寄)全般
OO ロクフェル中心 全般
VOCALOID 全般
終わらない課題に苦労する毎日。
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2008/05/05(Mon) 00:36:07
酒の肴に。-乙女達の晩餐会-
「…ふう」
束の間の休息。
プトレマイオスの自室で、スメラギ・李・ノリエガはワインのコルクを開けた。
部屋の中にはたった一人。
わずかに中身を注ぎ、それをゴク、と飲み干す。
フーッと息を吐いて椅子の背にもたれた。
「今日もつっかれたぁ…」
酒には強いので基本的には酔わない。だから飲む量が必然的に増えてしまう。だから、いつも最期まで飲んで騒ぐのはいつも私で。でもだからこそ、一人でいるとしんみりするものだ。
「はぁ~、でも、一緒に飲んでくれる人もいないしなぁ」
何か酒の肴に面白いことでも起きないかなぁ、なんて不謹慎なことを思っていると。
「スメラギさ――――ん!!」
始まりは、自分を呼ぶ少女の甲高い声。
-酒の肴に。-
入って来たのはクリスティナ・シエラ…プトレマイオスのオペレーターを務める少女…と、クリスティナの腕に手を絡めた…おそらく無理矢理連れて来られたフェルト・グレイスだった。その証拠に、フェルトはむすぅと少し嫌そうな顔をしている。
「あら、二人とも…どうしたの?」
片手にグラスを持ったままふりむくと、「あ、また飲んでるぅ」と言いながら、クリスティナ(と引っ張られたフェルト)が寄ってきた。
「いいじゃない、休憩中なんだから」
「勤務中でも飲んでるじゃないですかぁ…」
ふて腐れたように言ったスメラギに、クリスティナが呆れ混じりに返す。
「…でぇ?何なの、用って」
トクトクと二杯目を注ぎながら聞くと、あ、そうそうとクリスティナがフェルトの腕をぐいっと掴んだ。
「わ…っ」
そのまま前に押しやられてフェルトは無重力間の中で大きくよろめいた。
「フェルトにメイクを教えてやってくださいっ」
「ちょ…いいって、クリスティナ…」
控えめな彼女にしては珍しく、少しばかり声を荒げたフェルトが言ったが、クリスティナはそ知らぬ顔で「いいじゃないの」とにこやかに言う。
そんな風に女の子らしくじゃれあう二人に、スメラギは目をぱちくりさせた。
「フェルトに?何々、どうして??」
フェルトは14歳、それはもうお年頃な年なのに、CBのメカのエキスパートという立場の所為かあまりファッションやメイクに関心がない。(本人は『いいって』と言ってはいるが)その彼女にメイクを教えてやれとクリスティナがいうのだから、それにはそれなりの理由があるのだろう。そう考えてスメラギは興味心身に身を乗り出す。
「今度、ロックオンとデートするらしいんで…「クリスティナッッ!!」
いいじゃない、どうせばれてるわよスメラギさんにはというクリスティナに、フェルトは声を張り上げて遮った。
そんな二人に、再びスメラギは目をぱちくり。
飄々と言ってのけたクリスティナに対して、フェルトは耳まで真っ赤だ。
ほほう。
スメラギは二人の顔を見比べて、口の端を吊り上げた。
もうそこまでいっていたとは。
「フェルト、クリスティナ」
それまで二人できゃぁきゃぁ(きゃぁきゃぁの約八割はクリスティナ)言っていた二人は、スメラギに呼ばれてぴたりと立ち止まる。
「いいわよ」
でも、とスメラギは付け加える。
「その代わりに………」
「よぅし、できた」
ぽんぽん、とフェイスパウダーのパフをはたいてスメラギは満足そうに頷いた。
「…ありがとー…ございます…………」
スメラギにメイクを施してもらったのは勿論フェルト。しかしその手にはオレンジ色の液体の入った小さめのグラス。
「道具一式そのデートとやらの日に貸しといてあげるから、頑張んなさい」そういってスメラギはウインクする。
「はい……」
フェルトはこく、とグラスの中のものを一杯飲んだ。
スメラギが二人に突きつけた条件は、二人で今夜の晩酌に付き合うこと。といってもフェルトは未成年なので、中身は炭酸ジュースだ。
「スメラギさぁぁん…このお酒キッツいですよぉ…」
一方二十二歳のクリスティナは、当然アルコールを飲まされている。よほど強い酒なのか、二杯目ですでにダウン気味だ。
「えー?それが飲めないの?クリスティナもまだまだねぇ」
フェルトにメイクを教えながらも、すでにスメラギは瓶一本缶ビール三本を空かしていた。ちなみにその瓶一本とは、クリスティナが今飲んでいる強いものだ。
「もしかしてスメラギさん、いっつもこんなの飲んでるんですかぁ??」
「もっちろんに決まってるでしょ?」
「……仕事中も…ですか?」
アイラインが引かれて先程より大きく見える目を更に丸くして、フェルトが遠慮がちに聞く。
「あ、仕事中は流石に水割りよぉ」
…仕事中に飲酒しているという時点ですでに問題だと思うのだが。
「そんなんだからマイスターたちにああだこうだって言われるんですよぉ」
むすっとしたクリスティナが、呆れ混じりに言った。
「あら、クリスティナ、今日は饒舌ねぇ。飲んだから?」
半眼で口元は笑いながらスメラギが言うと、クリスティナは一瞬しまったといった表情をしたが、でもぉといって中身のまだ入ったグラスをもてあそびながら言った。
「ティエリアとか、まぁあの人はみんなに対してああだけど…ちょっと心配してる人とかも、いるみたいだし…」
「………え?」
スメラギが言うと、
「……ロックオンも、言ってた…」
とフェルトがまた珍しく口を挟んだ。今日は彼女までもがなぜか饒舌だ。
「……身体とか、壊さないのかなって」
「彼が?」
スメラギは半分驚いた顔で言った。あの飄々としたロックオンが?
さらにフェルトは続けた。
「ロックオン、スメラギさんのこと、いつも読んでる気がする。察してるっていうか、うまく、いえないけど…」
「…そうかしら?」
『強がってんだよ』
確かに、ロックオンはたびたびスメラギの行動に対して含んだ言い方をするときがある。
まるで、スメラギの思っているところをすべて理解しているように。
フェルトの声は、少しばかり嫉妬さえ含んでいた。彼女がそんな表情をした所は初めて見た気がして、スメラギは開けかけた口を閉じる。
「ロックオンだけじゃないですよ」
そこでクリスティナがグラスをもてあそび続けながら言った。
あの人だって。
「控えた方が良いんじゃないか、とか大丈夫なのかな、とか……」
「…アレルヤが?」
「!フェルト…っ」
思い浮かべながらいっていた人物を小さな声でフェルトが当ててしまい、クリスティナは慌てたように席から立ち上がった。
「そうなの?」
スメラギが聞き返す。
「………………………」
むすぅと頬を膨らませて、クリスティナは黙った。ちらりとフェルトを睨むと、フェルトはだってホントのこと、といった様な表情でじっと見つめ返してくる。
「そうですよ」
諦めたようにクリスティナは再び席に座る。心なしか顔が赤い。
「…嫉妬くらい、しますよぉ……」
例え、それが女性として好意を寄せている目ではないとしても。
自分の好きな人が誰か別の女の人を心配していたら、不安にもなる。
「………………………」
しばし、沈黙が降りる。
スメラギは向かい側に座る、二人を見つめた。
明るくて気さくな才女と、大人しくてコミュニケーションが苦手な女の子。
それでも二人の共通点は、心配性で、そして。
………ふう、とスメラギは目を伏せた。
カタ、と席を立ち、向かい側に回る。
怒られるのかな、と身を強張らせたフェルトと、ちょっと言い過ぎたかな、としゅんとしているクリスティナの肩を、二人の間に入ってぐいと寄せた。
「ごめんねぇ、二人とも………」
ああ、こんなにも心配されてたんだ。
そしてこの子たちは、こんなに女の子だったんだ。
スメラギは私もまだまだだな、とため息をついた。
戦況になると、どうしても他人の心というものを忘れがちになる。
敵のこともそうだけど、周りの同胞達のことも。
そして、目を丸くしている二人の顔を、一人一人ゆっくり確認して、きゅっと抱きしめるように腕に力を込めた。
大事にしてあげなければ。
心配掛けちゃいけないんだ。
「ありがとう、心配してくれて」
そういってもう大丈夫よ、と安心させるようににこりと笑って見せた。
「スメラギ………さん………」
クリスティナが、小さい声でそう呼んだ。
きゅっと、もう一度左腕に力を込める。
「……………いや、そうじゃなくて……」
「え?」
顔を上げると、クリスティナが人差し指でスメラギの右肩を指差して言った。
「…フェルト、なんか顔赤いんですけど……」
くる、と振り向くと、彼女の赤みがかった頬と、上下する肩。
「…え?ちょ、フェルト!?」
彼女に飲ませたのはアルコールじゃなくてジュースだったはずだ。
「……そういえばフェルト、炭酸飲むと酔うって聞いたことが…」
あるような、ないような。
クリスティナが思い出したように言うと、フェルトの身体が、ぐらりと前に傾いた。
「え!?」
「フェルト!!」
三時間後。
結局(炭酸で)潰れてしまったフェルトをスメラギのベッドに寝かせたり色々したりとしている間に、クリスティナも疲れて眠ってしまい、小さな晩餐会はお開きになった。スメラギは、ベッドの脇に頭を預けて寝ているクリスティナに毛布を掛けてやる。
炭酸で寄ってしまうなんてフェルトらしい。
スメラギは二人の寝顔を見つめてクスリと笑った。
何はともあれ、今日は彼女たちの本音が聞けてよかった。
ロックオンが自分のことを色々と分かってしまうのは、きっと年が一番近いせいだろう。クリスティナがアレルヤに思いを寄せていることは前々から知っていたが、彼はもともと根が優しく、心配性な性格なのだ。
彼女たちの気持ちも分かるが、二人がそういう性格なのだから仕方ない。
「まぁ、私が心配掛けるようなことしてたから、いけないんだけど…」
ともあれ、みんなの前で酒を飲むのは、少し控えよう。
「飲む時は、気をつけなくちゃ、ね」
あくまで、みんなの前では、の話。
そう呟いて、スメラギは缶ビールのふたを開けた。
だって、これがないと、私は生きていけないんだもん。
友達の宝珠のイモウトギミ、鈴蘭ちゃんへ誕生日&クリスマスプレゼント。
ギャグにしようと頑張りましたが、無理でした…ごめんなさい、鈴蘭ちゃん…。
鈴蘭ちゃんのみお持ち帰りOKです。こんなんでよければ…
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